エグゼクティブと健康 現役社長が語る<中>

エグゼクティブにとっての遊びとは?

前回は、エグゼクティブと健康について、日常生活、プライベート、目指すべき次のステージについて、当財団が提唱する ”心(Mind)と身体(Boby)と見た目(Looks)“ について語っていただきました。今回は、エグゼクティブにとって、仕事に通じる感性の磨き方についてお話をしていただきます。
 

エグゼクティブにとっての遊びとは?

Question
すべて仕事中心の毎日のようですが、リフレッシュや遊びはされてますか?

遊んでないとダメ

頭がリフレッシュできているかは、身体と同様に常に気にしています。考えが行き詰まる時って、やはり遊んでいない時です。脳のためにも遊びは大切です。

シチュエーションごとに3台の車を乗りこなす

シチュエーションごとに車を乗り換える

私の場合、遊びといえばまず車です。現在3台の車を所有し使い分けています。
仕事用はボルボ。1万8千キロも走っていますが、4WDで安全、丈夫なのが気に入っています。仕事上、天候が悪かったり、遠方のクライアントを尋ねたり、田舎で道が悪かったりしても、あらゆるシチュエーションで頼りになる車です。休日の短距離の外出用には、ポルシェ911。人馬一体という言葉がありますが、まさに車と一体となる感覚が堪りません。遠方にツーリングする際は、LEXUS LC500。でも残念ながらコロナ禍で旅行にも行けないので、ストレスを感じています。
車好きの私ですが、カー専門雑誌などで紹介される最近の車には全く興味が湧きません。どれもがSDGsを意識しすぎていて面白くない。時代遅れなのでしょうけど、いいんです(笑)。

絵画が描かれた背景をゆったりと冥想

美術館を巡り描かれた背景を瞑想する
コロナ禍でも楽しめる別の遊びは、美術館巡りです。最近は混雑を避けるため予約制になっているところも多く、ゆっくりと鑑賞することが出来ます。私は絵画そのものというより、その時代背景や人間関係などを考えながら、じっくり観るのが好きなんです。

例えば、モネ。当時は産業革命で様々なものが発明されていた時代です。そのおかげでチューブ入り絵の具が発明され、室内でなく屋外でも絵を描くことが出来るようになったとか、列車が発達して郊外にまで絵を描きにでかけることが出来るようになったとか。そういったことを考えながら絵を眺めてると楽しいです。

仕事の感性を磨くための遊び

仕事の感性を磨く!

心のリフレッシュは感性を磨く術

Question
心のリフレッシュは、身体の健康と同じ位に大切です。そして、エグゼクティブにとってのリフレッシュは、最終的にすべて仕事に繋がっていくということでしょうか?
 
そうですね。絵画鑑賞も結局は仕事に繋がっていて、総合的に問題を把握する能力を養うのに役立ちます。コンサルタントとしてクライアントに接する際、言われるがままに先方の問題を鵜呑みにせず、全体を俯瞰して客観的に真の問題点を洗い出さなければなりません。絵画鑑賞を通して感性を磨き、次の仕事に結びつけていますね。
リフレッシュとはいえ、仕事に関係しないことはしないです。ふと気づくと仕事の問題が常に頭にある。24時間365日。このことを理解しておかないと、エグゼクティブを語ることは出来ないと思います。伸び続けて成功する人、すなわちネNEXTエグゼクティブも同じで、一般社員との違いはここにあるのではないでしょうか。

ですので私は、身体はもちろんのこと、心がリフレッシュできているか常に自分に問いかけています。最近は行けなくなりましたが、海外出張が多かった頃、出張の目的は2つありました。1つは現地情報を得ること。2つ目は美術館を見まくることです。
レオナルドダヴィンチのお墓参りにも行きました。墓標を前に、彼はどうしてあのような絵を残せたのかと、思いを巡らすのです。そして、ゴッホ。彼は自殺したとされていますが、それは誤りという説もあります。そういった背景を調べた上で鑑賞すると、実に面白いものです。

絵画鑑賞で培った素養が、本質を見分けるために役に立つ

絵画が描かれた時代背景をトータルで知ることは、コンサルティング業務に非常に役に立っています。ある老舗の材木屋のコンサルティングを実施した際、その社では105年続く創業以来の古い体制を変えようとしている最中でした。創業者の古い前掛け(エプロン)が保存してあったのですが、これを捨てようという意見に反して、私はこれこそ会社の原点なのだから取っておくことを勧めました。創業者の時代に遡れば、当時まだまだ粗末だった日本の住宅を、より住みやすい良いものにしようという高邁な精神をもって始まった事業だったのです。その信念を再認識すること、その大切な軸を再設定することが、よりよい木造住宅のために必要なことではないかと説いたのです。今では、そのエプロンは綺麗な額に入れて社内に飾られています。

どんな常識も受け入れられる懐の深さに繋がる

どんな常識の受容する懐の深さ
モネについては面白い話があります。彼は、若くして亡くなった愛妻カミーユとの仲睦まじい話が有名ですが、実は隣に住むアリスと不倫をしていた。そして、その愛人アリスが妻カミーユを看取ったという複雑な恋愛関係にありました。アリスはカミーユの死後にモネの後妻になったのですが、自身が不倫して事実上モネを奪ったことになります。再婚後は二度とそういうことにならないよう、アリスはモネにヌード女性を描かせないようにしたそうです。そのため、モネの絵の題材の興味は睡蓮に向かったとのこと。あの素晴らしい睡蓮の絵の背景に、なんと深い人間関係の織りなす物語が秘められているではありませんか。確かに今から見ると全くヒドイ話ですが、当時の社会的背景を知るとなんとなく理解できてしまうのです。
各々の絵画が描かれた時代の常識を理解することは、やはり仕事に繋がります。企業によっての常識は異なりますので、それを本当に感受しない限り、その社に受け入れてもらうことは出来ません。複数の企業で、それぞれの常識を充分に理解し咀嚼しフィードックすることは、たいへん神経を使う作業ですが、ここでも絵画鑑賞の経験が役に立っています。

次のステージを見据えるとは

次のステージを見据える
Question
エグゼクティブもNEXTエグゼクティブも、いつも次のステージを見つめていければならないということですね。なるほど、おっしゃる通りと思います。より具体的に、どんな動きが必要でしょうか?

自己プロデュースによる未来設計を

ずばり自分を魅せるための「自己プロデュース」だと思います。常に少し先の未来を見据えて、自分がどうあるべきか=どう見えるべきか=どうふるまうべきかを考える。そのために自分が今、何をなすべきかを決めて実行していくことだと思います。
未来とは遠いものだけでなく、目の前の仕事の場合も含まれます。例えば、プレゼンテーションの場では、まず自分がどう発信したいのかを明確にする。冷静でいたいのか、ドロッとしたものを投げたいのか、カッとした情熱を伝えたいのか、その方向性を決め、相手がそのように自分を見てくれるように自らをコーディネートしていくということです。常に一歩先に何があるかを考え、それに基づいて動く習慣をつけるのです。

常に未来を見据える姿勢が魅力となる

私の会社は創業21年になりますが、創業以来お付き合いいただいている会社があります。コンサルタントとして、先方の経営者の耳に心地よい声ばかり届けていたのでは、これだけ長くは続けられません。時には耳障りな意見があったとしても「あいつと付き合っていると未来が見えそう」と思わせることが秘訣だと思います。そのためには、彼らの本気度を推し量り、理解し、自分として最大限に何ができるのか、どうするのかを示していく真剣勝負です。

<続く>