長引く雨の季節とうまく付き合う
曇りや雨の日が続くと気持ちが優れず、時には体の不調を感じる方もいるのではないでしょうか。低気圧の接近に伴い、環境の変化に敏感な人は頭痛や肩こり、そして膝などの関節に違和感を覚える人もいるようです。体の不調と共に活動量も減りがちになり、更に体調がすぐれないと言ったことにならないよう注意が必要です。フィットネスジムなどを利用されている方は、天候に関係なく日々の運動ルーティンを継続しましょう。一方、ジョギングやサイクリングなどアウトドアでの運動を日課にしている方は、残念ながら晴れた日と同じと言うわけにはいかないかと思います。その場合、室内でのストレッチなどで体の柔軟性や自体重を利用した運動を継続して筋力の低下を防止とコンディションを整えるよう、出来る範囲での調整を行うことが大切です。環境や状況の変化に伴い、運動習慣とトレーニングの継続が途切れないようにすることは非常に大切です。
体を動かし、適度な運動を行うことで心拍数が上昇します。同時に血管も拡張され、多くの血液が体中をめぐり、酸素やエネルギーを体の隅々まで運んでくれます。更に血液循環が促進されると、滞りがちな老廃物も血流に乗って排除されます。つまり、新陳代謝の活性化によって、心身ともにリフレッシュすることに繋がります。筋肉などの組織だけでなく、脳への血流も増えることで判断力や認知機能低下のような老化防止にも効果が期待できます。季節の変化をポジティブに捉え、アクティブな日々を楽しむよう心がけてはいかがでしょうか。
フィジカルアクティビティとメンタルへの関係
定期的な運動習慣は、精神的な健康状態を保ち、よい影響を与えることが研究されています。身体や脳への刺激でホルモンなどの分泌も促され、ポジティブなメンタル状態になることが期待できます。ストレス発散とメンタル状態の向上、更にフィジカルな身体機能と運動効果は将来の大きなリターンとなって自分自身にプラスとなります。しかし運動習慣は、即効性がないことが継続の障壁となることが多いのが現状です。残念ながら身体機能の回復や維持はギャンブルのように一発で取り返すことが不可能です。つまり必要性を感じた時が実行に移すタイミング、いつからでも始められる運動と言う投資を始めるチャンスです。是非、出来ることから初めて、心身ともに健康なウェルビーイング(Well-being)をめざしてみませんか。
脳とフィジカルアクティビティ
脳や認知に関する研究はご存じのとおり世界中で行われています。研究では、海馬と呼ばれる脳の機能は認知機能の一つで、記憶に関する重要な働きをしています。この重要な脳の機能は、筋肉などと同じように活性化しある程度鍛える事が出来る組織であると言われています。つまり何もしなければ足腰と同じように衰えていきます。では、どのようにして脳を鍛える事が出来るのでしょうか。それは、適度な運動と習慣が重要なカギとなります。運動効果のひとつに心拍数の上昇と血流の増加があります。この効果が脳にも非常によい刺激を与えます。脳細胞はニューロンと呼ばれる伝達機能で信号を送り、ネットワークのように繋がっています。運動でもこのニューロンが活性化され、効果的に脳細胞は機能します。老化に伴う認知機能の衰えは完全に止める事が不可能ですが、運動効果による脳の活性化は年齢に関わらず可能とされています。まさに、トレーニングが筋肉にもたらすものと同じような効果です。使えば鍛えられ、刺激と共に成長する。体の神秘的な能力です。
脳を活性化させる運動は、難しいことをしなくてもよいのですが活動的な動作を繰り返すことによって心拍数を上昇させる必要があります。ひと汗かいてリフレッシュすると同時に、脳も健康になるのであれば一石二鳥ともいえるでしょう。慣れない脳トレのような事をするよりも、取り組みやすいと考えるのは私だけでしょうか。
日々、重要な案件に対して決断を迫られる責任ある立場の方々であれば、脳の健康は否応なしに気になるのではないでしょうか。現実的に考えるとどのような職位や立場であっても、社会生活ではストレスがつきもので常に判断が迫られます。ありがたいことに、運動効果はストレス耐性を向上させることも期待できます。よって脳やメンタルにとって運動習慣は、非常に価値ある行為と言えるでしょう。
脳を活性化させるためのフィットネスはどれくらい行うことが必要?
脳を鍛えるために必要な運動はどれくらい行えばよいのか気になるところです。一般的な目安として30分を週4回、または40分を週3回、有酸素運動の持久的なスポーツや運動が効果的なようです。動作の少ないヨガやストレッチでは、心拍数の上昇が起きにくいので有酸素運動の効果は残念ながら期待できません。とは言うものの汗だくになって息も上がるような激しい運動をする必要もありません。少しペースを上げての速足ウォーキングや軽いジョギングなどでも心拍数は上がります。その他、リズムに合わせたエアロビクスやグループレッスンなども効果的です。最近ではオンラインやビデオに合わせて行うトレーニングも盛んにおこなわれており、忙しい方でも自宅での運動に取り入れてみてはいかがでしょうか。大切なことは、自分の体力や運動経験から適度な運動強度を見つけて、終わった時に清々しくなるような運動を継続的に行うことです。
《執筆者》
一般財団法人 日本ヘルスケア財団
副理事 竹内陽一
MBA、NATA公認アスレティックトレーナー